2025/01/13 11:00

今日は、私が一目ぼれをした本の紹介をしようと思う。


その本の名前は、タイトルにある通りだが、点滅社から出ている『鬱の本』だ。
この本との出会いは、私が病院の通院のため、福岡に行った時だった(私は持病ですい臓と肝臓、心臓の病気を持っているため、数ヶ月に1度は福岡の病院に通院している。これを書いている現在も通院は継続している)。

この時、私はまだ本屋として働いてもいないし(多分、バイトとして受かってはいたが勤務前だった)、パニック障害がかなり落ち着いて普通の生活は送れていた。
この時はまだ、本屋をしようなどとは微塵も思っていなかったのだ。
それが約1年とちょっと前(多分!)。

私は、福岡に行くと必ず博多の丸善・ジュンク堂に行くのだが、その時にこの『鬱の本』が目立つところに平積みされていた。
一目見た瞬間、私はこの『鬱の本』に衝撃を受けた。

な・・・なんだ、この本のタイトルは・・・。
『鬱の本』????




なんてダークなタイトルなのだ!!
そして、タイトルの真逆をいく、装丁の美しさ・・・。
虹色の箔押しに、謎の形の模様(この時、これがクッキーとわからなかった)、すごく凝っている、これまた面白い本が現れたなぁ・・・。
と心の中でワクワクしていた事を私は未だに覚えている。

しかし、私はやっとパニック障害が落ち着いた時だったため、その時一緒にいてくれた友人に『鬱の本』の購入を止められたのだ(友人は私のパニック障害がぶり返さないように止めてくれたと思う)。

しかし、それから私の頭の中はこの『鬱の本』の事ばかり考えてしまうようになった。
あの本はどんな作品になっているんだろう。
84人の鬱と本にまつわる話・・・。
読みたい、読みたすぎる。
でもこれを読んでパニック障害がぶり返したら嫌だ・・・。

もうあの死ぬような思いをするのは絶対に経験したくない!!

そういう思いもあり、すぐには『鬱の本』を購入する事はなかった。

しかし、それから数ヶ月経っても、私のパニック障害はぶり返す事はなかった。

これなら大丈夫だと思った時、私はすぐに『鬱の本』を購入した。
そして、読んで衝撃を受けたのだ。

わかる、わかるよ。
憂鬱な気持ち。
本当に苦しい時って読む事もできないよね。
この人も私と同じ行動してる!
よかった、私だけじゃないんだ!

あら?
この本、色んな作品も紹介している。
そして、この作家さんが紹介している作者、
この『鬱の本』にも掲載されているじゃん。
えーーー!おもしろーーー!

こんなにたくさんの素晴らしい作家さんの、鬱に関する本が読めるなんて、
なんて贅沢な一冊なんだ!

と、こんな感じで少しずつ『鬱の本』を読んでいった。

『鬱の本』を読み終わると、今度は出版社に興味が湧いた。

執筆している方、谷川俊太郎さん?瀧波ユカリさん?大槻ケンヂさん?
すげぇなぁ。
あれ?これ講談社?新潮社?から出ているっけ?
いや、点滅社って会社だったような。

へぇ〜、点滅社って2022年に作られた会社なんだ。
なんでこんなすごい人達が集まるんだろう?

点滅社を立ち上げた人ってどんな人なんだろう?
という風にこれまた一気に点滅社の虜になった。

この時点でも、点滅社と取引をするなんて1ミリも思っていなかった。
そのため、今自分が本屋を開いている事も、あの時博多の丸善・ジュンク堂で一目ぼれをした本の
出版社と取引をするなんて、夢のようである。

夢を通り越して、実は狐や狸に化かされているのではないか?という気持ちである。
でも、もし化かされているとしても、これまで色々な人に出会えて楽しく嬉しい思いをさせてもらったので、
それでもいいかな?と思っている自分もいるのだ。

鯛文庫店主・後藤